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汗の必要性について
汗の必要性について、理解しておかなくてはならないのは、汗は体温調節のために出るということです。
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個人差もありますが、人間の体温は36度前後に保たれています。
体内の細胞や器官が、もっとも効率良く機能する温度なのです。
人間のような、周囲の環境に関わらず、常に一定の体温を維持する動物を恒温動物といいます。
恒温動物は、体温が大きく変動すると、体の機能が正常に動かなくなります。
人間の場合。低くて30度前後、高くて40度前後まで体温が変化すると、 命の危機にさらされる状況と言えます。
とくに、体温が40度以上に上がってしまった場合、熱に弱い脳は、ほとんど機能出来なくなってしまうのです。
そんな危機的状況にならないように、私たち人間は汗をかくのです。
汗は蒸発するときに、皮膚から熱を奪っていきます。
そうやって、体温を一定に保っているのです。
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汗のしくみと働き
汗は、皮膚にある「汗腺」から分泌されます。
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その汗腺には、「エクリン腺」と「アポクリン腺」の2種類があります。
■エクリン腺からでる汗について
エクリン汗腺は全身にあり、出る汗は汗孔から排出されます。 エクリン腺からでる汗は、汗をかく状況によって種類とその働きが異なり、大きく分けて3つの種類があります。
【温熱性発汗】
まさしく体温を調整するためにかく汗のことです。 周囲の気温の影響、運動をしたとき、食事の時などに、 必要以上に上昇してしまった体温を下げるためにかく汗のことを、「温熱性発汗」といいます。
【精神性発汗】
大勢の前で話をしたり、会議やテストで緊張したりした時、スポーツや映画を見たりするようなドキドキした時、 ようするに緊張・興奮することによって汗が分泌されることを「精神性発汗」といいます。 いわゆる「冷や汗」といったものも精神性発汗にあたります。 手のひらや足の裏、ワキの下、額などに局部的にかく汗です。 汗腺は交感神経に支配されているため、緊張により交感神経が刺激されて発汗するのです。
【味覚性発汗】
カレーなどの辛い食べ物を食べた時に、発汗神経が刺激を受けて汗が分泌されることを「味覚性発汗」といいます。 とくに額からの汗が目立ちますが、基本的には全身から汗をかいています。 肝臓の機能を助ける働きがあります。
これらの3つの汗は、全身にあるエクリン腺から分泌されます。 エクリン汗腺から出る汗は、その成分の99%以上が水分です。 水分以外の成分としては、塩素やナトリウム、カリウム、尿素、アンモニアなどがあります。
ここで問題になってくるのが汗の質です。運動不足だったり、1年を通じてエアコン等のお世話になっていたりと、 汗をかく機会が減っている人が多いと思いますが、汗をかく機会が減ると汗腺の機能が低下して、 「汗をかけなくなる(出にくくなる)」という悪循環に陥る事があります。
汗腺には、血液中に含まれるミネラル分をろ過するという働きがありますが、 この機能が低下する為に、ミネラル分の多いベトベトした“悪い汗”をかくようになるのです。 ミネラル分の多い汗は蒸発しにくく、体温調節がうまく行われません。 また、体に必要なミネラル分も血液から奪うため、慢性疲労や熱中症の原因にもなります。 更に、アンモニアなどのニオイ成分を含むため、ニオイが発生します。 そのアンモニアには、皮膚表面をアルカリ化する作用があり、 これが雑菌の繁殖を促して、汗のニオイはますます強くなります。
“良い汗”は、水に近いサラサラの状態の汗です。 蒸発しやすく、弱酸性であるため、皮膚の常在菌の繁殖も抑えます。 また、無色・無臭・無菌であるため、ニオイもありません。
良い汗をかくためには、日頃から汗をかく習慣を身につけることが大切になります。
■アポクリン腺から出る汗について
アポクリン汗腺はエクリン汗腺とは違って、全身には存在しません。 アポクリン腺は、思春期になると、腋の下や耳の後ろの周辺、外陰部などの特定の部位に発達します。 これは、いわゆるセックスアピールに関係しています。 なわ張りに匂いつけたり、体臭に興奮したり、動物が本来もっているもの、 強さなどの雄らしさ、色気などの雌らしさの表現型であるフェロモンなどのニオイを分泌するためのものです。 当然、分泌は性的興奮の影響もうけます。
アポクリン汗腺から出る汗は、汗孔ではなく毛穴から排出されます。 その汗はアルカリ性で、水分は70%〜80%と少なめです。 さらに、タンパク質や脂肪や尿素、アンモニアなどのさまざまな成分が大半を占めており、 エクリン汗腺から出る汗よりも粘り気があります。 いわゆるワキガなどの嫌な臭いはアポクリン腺からでる汗が原因です。
しかし、実際には、汗の成分が直接ニオイを発しているわけではありません。
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汗のニオイについて
エクリン腺もアポクリン腺も、汗が汗腺の中にある時は無臭です。
■エクリン腺の汗の臭い発生
エクリン腺の汗の99%以上が水なのですが、皮膚の表面で汗、垢や皮脂、ホコリ、フケなどが混じり合うと、 それをエサに細菌が増殖します。
つまり、皮膚が清潔なら、「汗臭くなりにくい」のです。
ここで問題になるのが、皮膚に住む菌の種類です。 「皮膚常在菌」いう、良い菌と悪い菌が共存しており、バランスを保っています。 これと同じ話として、腸の善玉菌、悪玉菌が有名です。 腸と同じく、バランスを崩せば、悪玉菌が増える。結果、汗臭くなるということです。 除菌効果の高い石けんを使いすぎたり、ゴシゴシ擦りすぎたりして良い菌まで落としすぎないように、 適度な清潔感が必要です。
■アポクリン腺の汗の臭い発生
エクリン腺と同様に、皮膚にいる細菌によって分解、酸化されることで臭い物質が作られます。 ただ、アポクリン腺はもとから個性的な臭いを作ることが目的の汗腺ですから、 エクリン腺の汗と成分はまるで違います。 ですから、分解酸化された時に低級脂肪酸やアンドロステノンといった物質になり、 アンモニアなどと混ざり合うことでワキガ臭が発生します。
エクリン腺 アポクリン腺 分布部位 全身にあり、とくに手のひらや足の裏に多い。皮膚の表面に汗を出す。 ワキの下、乳首、陰部付近などの特定部位。毛穴に汗を出す。 活性時期 ほぼ一生 思春期から壮年期後半 機能 ・発汗による体温調節
・肝臓機能の補助
・皮膚の乾燥防止・性的アピール 汗の特徴 ・透明な液体で、おもな成分は水
・尿に似た成分をわずかに含む
・無菌状態では悪臭だが、細菌に分解されるとにおう。・蛍光を発するにごった液体で、おもな成分は水
・たんぱく質、脂質などを含む
・特有のニオイがある。ニオイが強い場合を「ワキガ」という。発汗に影響する
因子・気温
・緊張などの大脳への刺激
・辛い物を食べる・性的興奮
・一度分泌したアポクリン腺は以後24時間は活動しない。
多汗症の原因となるエクリン汗腺からの汗も、ワキガの原因となるアポクリン汗腺からの汗も、 実は汗腺の中にある時は、まだ無臭です。でも、皮膚上に分泌された段階で、そこに存在している 常在菌の作用により臭いの物質が作られてしまいます。
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ちなみに人によって、常在菌の種類、数は個人差があります。 ワキガ臭が軽い人は、皮膚ブドウ球菌がメインの常在菌になっている事が多く、 ワキガ臭が強い人は、ジフテロイドなどのコリネバクテリウム属の菌が多く見られる傾向にあります。
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汗を防ぐためには
汗を防ぐためには、収斂剤(しゅうれんざい)といわれる薬が使われます。
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その中でも簡便な方法で、かつ効果の有無も比較的わかりやすいのが、アルミニウム配合の制汗剤です。 皮膚に直接塗り使用します。
一般的にデオドラントという名前で販売されているものの多くは、 サラサラ感を出したり消臭・芳香効果が中心で、多汗症の人の汗を抑えるほどの作用はありません。
一方、アルミニウムは、制汗作用があり、多汗症の治療薬として病院でも使われているものです。
ちなみに、残念ながら汗を止めるだけであり、多汗症自体を治すものではありません。
使用を中止すれば、また汗が出てくるようになります。
従って、継続的な使用が必要です。
塩化アルミニウムは、表皮の大部分を占める角化細胞にアルミニウムが作用し、
角化物が増え、角化物が汗孔(汗の通り道)にたまって閉塞し(角栓)、汗の流れを止めてくれます。
ようするに発汗量が低下するということです。
そして角栓は皮膚のターンオーバーに伴って、排出されます。
塩化アルミニウム配合の制汗剤は、発汗がはじまってからより、 発汗する前(皮膚が乾いている時)に、使用するとより高い効果に期待できます。
(発汗時に使用した場合、効果が薄れてしまいます)
また、効果を実感するまでの期間には個人差がありますが、 だいたい1週間程度経過すると実感できるようです。
塩化アルミニウムのその他のメリットとしては、 手足、脇の下、頭部、顔面など、すべての部分に使用できることです。
(頭部・顔面に使用する場合は、特に取扱いに注意が必要で、安全性の確認ができていないため、当店では頭部・顔への使用はお勧めしておりません)
注意しなければならないのは、皮膚に炎症が起きることがあるという事。
そのため、除毛後や、肌が荒れている状態での使用、また粘膜付近への塗布は避けなければなりません。
チクチクする感じや、かゆみといった副作用が出ることがあるので、 使用する際には少量を試しぬりする、パッチテストをお勧めします。オドレミストにはお試し用セットがありますので、ぜひご利用ください。
そして、塩化アルムニウム液は、その濃度に依存して効果が変わるという事。
市販されている制汗剤はたくさんありますが、塩化アルミニウムの濃度を比較してみてください。
高濃度のものには『医薬部外品』、低いものには『化粧品もしくは書かれていないもの』もあります。
指定成分が決まった成分量入っていて、初めて『医薬部外品』という表記がされ、また効果効能が表示できるようになるのです。